夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ヘーゲル『哲学入門』 第一篇 存在 第一部 質 第二十節[質から量へ]

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ヘーゲル『哲学入門』 第一篇 存在 第一部 質 第二十節[質から量へ]

§ 20

Das Eins ist das fürsichseiende, das sich absolut von anderen unterscheidet. Aber indem dieser Unterschied, die Repulsion durch die Attraction sich aufhebt, ist der Unterschied als auf­gehobener gesetzt und damit in eine andere Bestimmung, die Quantität, übergegangen.

第二十節[質から量へ]

一者は自存的であり、自らを他者から絶対的に区別する。しかし、この区別、すなわち反発は誘引によって自らを止揚するから、区別は止揚されたものとして措定され、それによって他の規定へ、量へと移行する。

(Etwas hat ohne seine Grenze keine Bedeutung. Wenn ich von Etwas die Grenze verändere, so bleibt es nicht mehr, was es ist. Wenn ich von einem Acker die Grenze verändere, so bleibt der Acker, der er ist und wird nur etwas größer. Hier aber habe ich seine Grenze nicht als Acker verändert, sondern als Quantum. Seine Größe als Acker verändern hieße ihn z. B. zum Walde machen.)(※1)

(或るものは境界なしには意味をもたない。もし私が或るものの境界を変えると、それはもはやもとのままには留まらない。もし私が耕作地の境界を変えても、耕作地はもとのままで、ただ幾分か大きくなるだけである。ここではしかし私はその境界を耕作地として変えるのではなく、量を変えるのである。耕作地としてのその大きさが変わることは、耕作地を、たとえば森林にすることを意味する。)


※1
前節で「一」から「多」へと量に移行する論理が明らかにされたが、この節では、量的な変化が質的な変化を引き起こす事例、「量と質の弁証法」が論じられる。

たとえば、小さな畑も、その境界を山一帯にまで広げてしまうと、森林に変わってしまう。50度Cでは液体である水も、100度C以上に加熱すると水蒸気という気体に変わってしまう。